不動産仲介業者等がいわゆる事故物件を新たに賃借人に斡旋仲介する場合には、そこがどういう部屋であるかを説明する義務がある……らしいが、その事情を知りつつ、賃借した者がひとりでもあれば、以後の賃借人に対してはその義務は免ぜられる……らしいので、「事情を知りつつ賃借する」者があれば不動産屋さんは、たいへん助かる。今回、池田エライザさんは、部屋の履歴をロンダリングするために、その部屋に住む女の子を演じた。
不動産屋さんで、池田エライザさんの叔父さんでもあるオダギリジョー氏は、現在放送中の連続テレビ小説で、京都帷子ノ辻付近の商店街の回転焼き屋さんのお父さんを演じている。いつも怪しいシャツをぴらぴら着ているけれど、本作でも、同様のシャツを抜群のプロポーションの身体で着こなしている。もしかしたら、あれらのシャツは、すべてオダギリジョー氏の私物なのだろうか。
実際は、池田エライザさん演じる自分に自信のない女の子は、あんな美麗な衣装を身にまとったりしないことをわたしたちは知っている。しかし、劇中では、池田エライザさんは、ほぼ天涯孤独できのうもきょうもあしたもふわふわとした、世の中のすべてから見捨てられたみじめな存在なのだ。そう仮定して映画を観はするけれど、ヴィジュアルが池田エライザさんなので、観るものは救われる。これは、映画だ、お芝居だ、という歯止めがあるから、絵面がつらくなりすぎない。映像作品は、それでいいと思う。