ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

雨になって最高気温が前日比10ポイントマイナス

 松竹と業務委託契約を締結して歌舞伎役者として活躍する俳優のうちで起きた事件にこころが乱れた。一夜明けて、そういうことなんだろうなとやっと腑に落ちて、まるで松井今朝子さんの『仲蔵狂乱』を地でいく芝居の世界の修羅を思った。

 歌舞伎の世界や花柳界に詳しかった有吉佐和子さんの『芝桜』という小説で、根が真面目な売れっ子芸者が有名な家筋ではないけれど、名題役者の息子のお付きをしている若い役者に惚れる。「若旦那」のあとについて役者を務めていてもうだつがあがらず、芸者と役者で所帯をもつ日もいつになるかわからないので、芸者は一生懸命朋輩の機嫌をとって彼の出る芝居の切符を売りさばく。役者としてのうまさだけではなく、主筋への忠誠心や切符を売る会社への貢献度が役者としての彼を大きくするのだと若い芸者は身を粉にして役者に尽くす。それなのに、役者は、という前半の山場。