ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

牛丼、食べたかったんだ

 外出した帰途、早めのお昼のために大手牛丼チェーンの支店に寄った。同行者らはともかく、わたしは、牛丼と豚汁と漬物のセットをオーダーするとはじめから決めていた。それもなんと十日ほど前からアプリに掲出されたメニューをみて吟味を重ねた結果、その組み合わせを選び出していたというからわれながらいじましいにもほどがある。

 そんなに楽しみにしていた牛丼(並)なのに、なんとしたことでしょう、3分の2ほど食べ進んだところで、いつもの食欲がその場を速やかに立ち去ってしまう現象が起きてしまった。これを避けるために、前日から食事の量を抑え、ごく軽い飢餓状態を作出しつつ、飴類にも手を出さないという血統対策を取ってきたというのに、わたしは並丼の3分の1を残してしまうのか、と悔しく申し訳ない気持ちに陥りそうになった。しかし、キャベツの芯の割合が時期柄多めの漬物に助けられ、なんとか並丼を平らげることができた。がんばって食べた分も含めて、とてもおいしかった。

 デリバリーでも牛丼は食べられるけれども、やはりファストチェーンの店内で食べるどんぶりには格別のものがある。

 

 

 やっと第二デカメロンに入ったところ……からあとを読もうとしたら、なぜかそこから上巻のおしまいまでいつのまにか虫食い式に呼んでしまっていた。用事が済むのを待つ間、iPhoneのアプリで谷崎の『細雪』の下巻を捲っていた。幸子の夫の貞之助が、妻の妹の雪子の縁談の相手へ、雪子が幾分引っ込み思案ではあるが幼少の者にやさしく思慮に富んだ婦人であることを細やかに巻紙に候文でしたためる部分、石坂浩二吉永小百合で再生された。