ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

包み続けてわたしは一人包団(ぱおだん)

 ヤマシタトモコさんの『違国日記』のはじめのほうで、それまでほとんど行き来のなかった15歳の姪を引き取ることになった35歳の小説家のうちに、中高からの友達が現れて、三人で餃子を作るエピソードがある。そのとき、「では包団を結成するぞ!」と友達が宣言するのだが、包団(ぱおだん)が実際に存在することばかどうかは詳らかでない。ようは、数人で餃子を包むチームを指すらしい。

 わたしは、30個かせいぜい40個の餃子しか包まないし、シウマイにしてもワンタンにしてもせいぜいその程度しか作らない。大量に焼き餃子や水餃子を加熱寸前の状態まで仕上げて、それから冷凍して保存するというのは、入江亜季さんの『北北西に曇と往け』で、慧くんがおじいさんの家でやっていたことだけど、17歳の食べ盛りで、肉ならばいつまでも食べていられるし、野菜入りの餃子なんていくらでも食べられる慧くんとは違って、そとにお勤めに行かない中高年だけの世帯ではその都度作ったほうが楽なのだ。冷凍庫のスペースの問題もあるし。

 そういうわけで、餃子、シウマイ、ワンタン、なんでもひとりで食事室の隅でごそごそと包んでしまう。刻んだ野菜と挽肉、少々の調味料を軽く捏ねて種を作るまでは台所で、そのあと市販の皮で種を包むのは椅子にかけてする作業だ。種を掬って皮に置くのは、ののじの味噌スプーンがよいと以前に書いたけれど、このごろシウマイやワンタンまで手を広げるに至り、無印良品のパフェスプーンを使うようになった。これでシウマイの種を掬って、皮の外側から円筒形に成形し、仕上げにスプーンの背で上面を軽く均す。緑の豆を飾っても飾らなくても、シウマイの上面は平らかなほうが美しいので、この作業は欠かせない。

 ただし、挽肉は、わりと栄養価が高い。こころなしか家族の顔がふっくらしはじめてきたので、一人包団もほどほどにしておいたほうがよいかもしれない。

 

パンもそろそろ焼いてみたい