ぴょん記

食べる、遊ぶ、学ぶ。

店員さんもつらい、買いたいほうもつらい

 家庭紙(トイレットペーパー、ティッシュペーパー等)が、一時的に市中の店頭では品薄だそうな。すでに先月初めごろからの紙マスクやアルコール除菌剤の件で、在庫ございません、もうしわけございません、入荷予定は未定でございます、を繰り返してきたドラッグストアの従業員さんたちはくたくたで、いつもはもっと穏やかな来店者さんたちが家庭紙等求めて複数店舗を経巡った揚げ句の疲労からきつい物言いをついしてしまうのに傷ついたりしているという。むべなり。

 店員さんが悪いわけじゃないと来店者さんはわかっているし、来店者さんが店員さんを憎悪するあまり言葉がつよくなるわけもないと店員さんもわかっている。できればマスク、トイレットペーパー、アルコール除菌剤、ティッシュペーパー、おむつに生理用品、のぞむだけ売ってあげたいむしろ買って下さい売上げが立つもの、と店員さんは思うけれども、店に肝心の現品がない。工場には、卸には、唸るほどのトイレットペーパーの在庫があって、四国中央市ではフル操業する工場からの排気で雲が生ずるほど追加を作っているときいてさえ、まず、2、3個、できれば1ダースの貯えがほしい、トイレットペーパー。

 1993年だったか、わたしは、若い主婦で、ふだんの米は歩いて2分のところにある個人経営の米屋で買っていた。秋になって、米不足で、国内産米とタイ国産米を抱き合わせでないと買えないというような感じになった。ふだんの米とは別に、わたしはその行きつけの米屋でよく餅米を買っていたのだが、あるときいつもの棚に餅米が見当たらなかった。あるいは店の奥にまだ出していない在庫があるのではないかと思いながら、餅米はありますか、と店主に問うと、なんとも微妙なニュアンスで、彼はこう答えた。「いつも買わない人が買うものだから、ないんだよ。」と。そうなの、わかりましたとわたしは答えて、以降、その町を引っ越すまで、二度とその店で買いものをしなかった。

 今回、不如意な思いをしているドラッグストアの店員さんたちは、その米屋の店主とはまったく異なる態度、心根だと思う。

 

城の中の城 (P+D BOOKS)

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