ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

『かの名はポンパドール』

 半月ほど前に、全4巻読了。原作が、『王妃の離婚』の佐藤賢一さんで、この人のフランス革命全史を早めに読んでおきたいと思う。

 ルイ15世の治世、フランスでは、貴族及びブルジョワジーの女性は、10代半ばで結婚をして、そこからは愛人を作ろうが浮気をしようが、夫や家風にもよるだろうが、相当に「自由」だったようだ。結婚する直前まで、修道院に預けられて、親にも兄弟にも碌に会わないままに質素な生活を送っていたのが、一旦結婚して、「夫人」になった途端、貴族、ブルジョワジー、ときには王とも公然と男女交際するようになる。

 王が、王妃ではないが、ただひとり選んだ女性に財と愛と欲望を注ぎ込むことがある。その女性を「公妾」といい、「公爵夫人」などといった称号を伏せられる。青年期から壮年期にかけてのルイ15世は、とても精力旺盛だったようで、政治、娯楽、社交のほか、もちろん閨房をともにしたポンパドゥール夫人は、蒲柳の質であったことに加え、ルイ15世のリクエストがあまりに頻繁であったので、それで身体を壊してしまう。

 わたしは、歴史はそれなりに好きだけど、最後に通史っぽいものを読んだのは、高3になってからの通学路が長かったので、中公文庫『世界の歴史』各巻を順次紐解いたくらいだ。もともとの家付き娘の女公爵と、ポンパドゥールのように夫の公爵はいないけれど公爵夫人を名乗る人を、宮中の儀典が区別を設けていたかなどと細かいことは知る由もない。

 

 

 父親の寵姫で母親である王妃の名誉を汚すものとして、ポンパドゥールを憎んでいた王太子が、ついには為政者として内政や外交に頭角を示した彼女を認めるに至った経緯は、面白い。この即位することなく亡くなる王太子がポンパドゥールが連れてきたふたりめの妃との間に儲けた子息のひとりが、あのルイ16世である。