ケーキもごちそうも用意しない。ふつうのごはんと味噌汁とおかずで夕ごはんにする。クリスマスと大晦日の間に唯一の家族の誕生日があるから、年末の忙しい時期に生まれたばっかりに、来る年も来る年も主観的に十分に誕生日を祝ってもらった記憶の薄い彼の子供時代を補償するために、「その日」に、ケーキとモスチキンを食べることにする。
もう丸一年が過ぎたけれど、去年の今頃、わたしは、3回目の長期入院から帰宅した。その年のクリスマスイブは、その直後の最初の短期入院の初日だった。そこから数えて都合6回、短期入院を繰り返したし、冬のうちは、1週間か2週間に一度は丸一日かけて通院していた。くすりも山ほどのんでいる。三浦半島と札幌に1回ずつ泊まりがけで出掛けたほかは、神保町に1回だけ餃子を食べに出たときしか外出しなかった。
社会的にはほぼ死んでいるようなものだけど、生物としては、なんとか生き長らえている。この事実に感謝して、クリスマスを過ごしたいと思う。