週末に家庭内で風邪引きが発生し、看護のまねごとなどしていたら、案の定、自分もなにかに感染した。何種類もの高い薬を用いて、わざわざ免疫を押さえ付けているので、家の中で風邪引きが出れば自分にうつるのはしょうがない。余分に別の薬をのんで暖かめのところで転がっているのが拗らせないための唯一の方策。
そうしたら、ヤマシタトモコさん(「さん」付けは、はたして適当?)の祥伝社から出ているコミックのKindle版がなぜか安い。フェアなのだろうか。ヤマシタトモコさんの作品は、紙の本でほとんど持っているけれど、うれしくなってKindle版でも何冊か買うことにした。
オムニバスで語られる、いずれも妙齢の女性の気持ち。北関東出身の「お人形さん」のようにかわいい女が、けっして結婚しようとは云わない交際相手の男の、大学時代の同級生の東京育ちの女に理不尽な感情をぶつける。その東京育ちの、大きな家で裕福な両親に大切に育てられ、よい学校を出て、キャリア形成も順調な女にとっては、「お人形さん」の怒りは、まさに降って湧いた災難で、彼女はまったく悪くはない。その「お人形さん」が、どんなにがんばっても自分はけっして選ばれないと感じる絶望が正しいか誤っているかはその時点ではわからない。生まれつき美しい容姿に恵まれた女が、男の話に従順に根気よく頷いて、いくつかの大切なものを捨てて、いろいろ我慢した果てに掴む幸せというのは、現代においても、あるといえばある、ないといえば、ない。
ところでまたぞろ初デートで吉野家あるいはサイゼリヤに女性を誘導する男性や如何、なる話題が。すごく好きでたまらない人、または、これからきっとすごくすごく大好きになりそうな予感のある人なら、一緒にいられるだけで嬉しいと思うのです。そうではなくて、まあまあいいかもと感じる相手として食事をともにする場合、落ち着いてお話ができて、ひもじくもなく、胃もたれもしないようなところがきっと無難なのでしょうなあ。