ぴょん記

きょうからしばらく雨降る日々

渡辺多恵子『風光る』最終話

 27日は、夜中まで仕事をしていて、日付が変わってからKindle月刊flowers 7月号の電子版を購入した。物理版は入荷次第云々とあるけれど、わたしは数年前から電子版しか読んでいないので理由を考えない。

 『風光る』は、連載開始より23年に及び、前回の掲載からしばらく間を置いて最終話が掲載された。新撰組の古参の隊士のなかに、事情があって少女が紛れ込んでいたというフィクションであるこのものがたりは、単行本ではおそらく45冊目に、主人公の願望が叶えられるというかたちで終結する。

 今回掲載された最終話では、彰義隊と政府軍による上野の戦いから会津での戦闘を経て、五稜郭に向かった者たちの姿が描かれている。京都市中での斬り合いのシーンで、敵の刃を鉢金で受け止めてしまうような勇敢な主人公がときどきすごく遠く感じられたこともあったけれども、全編を読んで、幕末の風俗から太刀の拵えまで、十分に取材して美麗な絵に落とし込んでくださった作者の渡辺先生とアシスタントの皆さんには、ほんとうにありがとうございましたといいたい。

 文庫版で揃えているので、その後の刊行も宜しくお願いします。