ぴょん記

食べる、遊ぶ、学ぶ。

スーパーな彼女、聖母となる彼女

 先日、板垣巴留さんの『BEASTARS』第21巻を読んで、これも次巻でとうとう最終巻かと感慨を新たにしたものである。ハイイロオオカミのレゴシに4分の1だけ、コモドオオトカゲの祖父の血が流れているところとか、そのレゴシがドワーフうさぎのハルちゃんと恋愛していること、さらに、ハルちゃんと高校在学中はわりと割り切った関係だったアカシカのルイが、幼い頃、生き餌として売られていたところをお金持ちのお父さんに養子として引き取られたことなど、ひとつひとつのエピソードが塩辛くて甘酸っぱい。若い日というのは、恥ずかしさと蛮勇に溢れていたと思い出させてくれるものがたりである。

 一方、まだまだ連載が続きそうなナガテユカ『ギフトプラスマイナス』は、第20巻がリリースされたところ。同じ頃読んでいた『食糧人類』はSFとして秀逸だったが、『ギフトプラスマイナス』は、世界の一部では飢餓と疾病のリスクを縮小化したにみえた人類がいまだ誰も手にしていない、永遠の健康、そして不死の運命をつかまえるための、人と組織と国家の暗闘がテーマである。この手の話は幾らでも大きく展開できるものだが、事故や病気で新しい臓器を必要とする可能性はどの個人にもある。それゆえに、このストーリーには、フィクションとしての厚みも期待できるのだ。

 最新巻では、「たまき」ちゃんが生まれてきた意味、そして、話の流れに浮かび上がってきたふたりの「母」に光が当たる。前回まで、怪しい船に貼り付いてぼろぼろになりながら自らの意志を貫き通した加藤について殆ど語られることがなくなったのには一掬の涙を惜しまないが、いよいよ琢磨先生が帰国して、そしてリュウさんも目を覚まして、来春に出るという次巻が待ち遠しい。

 

ギフト± 20

ギフト± 20