わたしの見るところ、回を追うごとに、だんだんと義時の口髭が濃くなっていく。
今回は、富士の巻狩りで、水面下で進行したクーデターを「狩り」とすると、「獲物」は鎌倉殿である頼朝。頼朝は、安達藤九郎盛長が反対するのも聞かずに、比企の縁続きの娘・比奈のもとを訪れたことが幸いして、命拾いした。頼朝が比奈の宿所の扉を開けて、彼女だけを見ていたときの、精一杯体裁を取り繕っているけれども紛れもなく零れ出る好色さは、シチュエーション・コメディの発端として最高の出来だったと思う。藤九郎は、比企尼の娘を娶り、しかも自分の娘を蒲冠者範頼と結婚させているので、これからえらいたいへんなことになるだろうが、ともかくここで比企の娘と頼朝がややこしいことになるのを止めたのはさすがに忠義の人だ。それを振り切ってたぶん工藤祐経を身代わりに自分の寝所で休ませ、比奈のところへいく征夷大将軍とはいったいなんなのだろうか。
坂口健太郎さんの金剛が初登場したとき、「成長著しい金剛」と画面が一瞬ストップして紹介があり、前回からホモサピエンスとして20年分ぐらい成長したからこのキャプションも無理もないと感じた。それよりなにより金子大地さんの万寿が出てきたとき、声がもうしっかりした成人男性のそれで、それなのに万寿も金剛も童形のなりだったから、すべてを超えて、いっそもうとてもかわいらしかった。
梶原殿の「翌朝には死屍累々」作戦には、かなりびっくりした。