このごろ、ある官公署に書類を提出するために、宛先の正しい住所を確認する必要が生じた。一種の行政処分に対する審査請求を、担当官に対して、「書面又は口頭で」できるとまでは教示されているが、その担当官が空間的にはいったいどこにいて、職制上の所属は正確にはどこなのかわからなかったからだ。
さて、審査請求をしようときめた契機となった行政処分の記された葉書に唯一プリントされた事務所に電話を掛けた。自動応答で回された先は、人間の職員さんが電話を取る部署で、「これこれの事情で審査請求をしたいので、書面の宛先を教えてほしい。」と簡潔に依頼したつもりだった。
しかし、その職員さんは、「いまわたしが事情を伺ってそこで解決するかもしれないから。」とさらに詳細な説明を促す。架電したわたしの「お願い」は、審査請求の書面の宛先を教えてもらうことだけなので、いえ結構です宛先だけ教えてください、と一旦は断る。そこをなんとか、と職員さんはさらに概念上の膝を進める。
……一応、説明した。そして、結論として、やっぱりこちらではわかりませんね、ということになって、求める住所を教えてもらえることになった。だいたいの部局に当たりを付けてあったので、そこが正しいかどうかを先に確認してほしかったけれども、ちょっと待ってて、いま調べるから!と電話は保留音になった。
数分経過。
お待たせしました、と伝えられた郵便番号は、ふたつ候補をメモしたうちの最初の大阪市内のビルの付近のものだったから、あとはわたしがひきとって続きの住所を読み上げて、ここですね、ありがとうございました、で会話は終了した。
もし、審査請求する先を葉書に書いてくれていたら、時間と電話代、つかわなくてよかったのに。