今週のお題「うるおい」
顔にかぎらず、およそ人の皮膚の、とくに汗腺の出口は排出器官なのであるから、そこを逆流してなにか有効成分を皮膚内部に叩き込もうとしてもそもそもが無理なはなしであるという言説を見掛けたことがある。汗腺の出口を含めた皮膚の孔が出る一方の片道通行なのか、それとも潤い成分を含めた外部からの干渉を受け容れる余裕のある双方向性をもつのか、その真相は、生物の人も皮膚科のお医者さんももちろんご存じだけれどもそれほど言及されることはない。
たぶん、潤い成分は、それほど浸透しなくても構わないのだろう。湿度の低い時期、なにか乾燥に対抗するような水分の多い保湿性の化粧水かジェルを肌に塗って、そのあとその蒸発なり乾燥なりを遅らせるためのキャップの働きをする油脂を重ねれば、風呂から上がってあとは寝るだけのわたしたちはとりあえず安心できる。
肌の表面の潤いが足りないと、色味がくすんで見えるとか細かな皺がより多くなるとか、さんざんおびえて大人の時間を過ごしてきた。これは効く、と謳われた、化粧水も保湿クリームも特別なクリームも、パッケージは洗練されているし、価格は40gでも米20kg分以上したりするにも関わらずリピーターは存在するし、きっとプラセボ効果も含めて、「効く」のだと思う。
とはいえ、すでに大人になりきったあと、消費者としてもすれっからしになってしまったわたしが保湿化粧品、とくにクリームに臨むのは、いちばんに安心して使える品質と持続可能な購買価格だ。わたしのお財布もメーカーの経営もサステイナブルでなければ続かない。
どこのメーカーの何がどうでとはここでは書かないけれども。