一年かけてもとの量に戻したステロイドの服用量がまた3倍増になったのは、一ヶ月ほど前のこと。低下して安定しつつあったHbA1cの値が当然のように跳ね上がり、不眠の時間が長くなった。
人によって違いはあるだろうが、ステロイドには食欲を亢進させる働きがあり、困ったことに、わたしは、それが出やすいほうなのだ。ゆえに、血液中のヘモグロビンに付着する糖分を減らすためには、はやい話、くすりに頼ることになる。自分の意思だけで血糖値をコントロールできるかどうかで、わたしは、自分の人格を語るつもりはない。
増量されたステロイドに支配された胃腸と頭は、もっと食べさせろといい、血管のほうではこんなに感染しやすく糖の付着したブツを流すなといい、患者本人であるわたしは、血液検査の結果をラインマーカーで塗っては、ありえんと呟く。このうえ、駄目な人間だからHbA1cが云々などと自虐の思いに囚われている時間など、ない。なにせ老い先短いのだ。
あきらめて、自分に食欲を放棄させるくすりの服用を再開して約十日。
叉焼は、よくできたと思う。
とはいえ、カップ麺といえども、栄養バランスでいえばまだましなほうなのである。いまのところ、野菜は摂っているほうだと思うけれど、卵や豆腐に手が伸びなくなってきた。まあ、まさか低血糖に陥ったりはしないだろうけど、それにしても。